【インタビュー】5万円なのに全部入りDAP「FiiO X5 3rd」の購入者・あーる氏『デザイン、携帯性、ハードは最高だけど、ソフトの安定性に不安は残る』

2016年12月に行われたFiiOの新製品発表会で発表された「FiiO X5 3rd」。
約5万円という価格ながら、定価50万円であるAK380と同じDAC(AK4490)を同じくデュアルで搭載していたり、RAM 1GB、2.5mmバランス出力、microSDスロットx2、急速充電などとにかくハイスペックで話題になりました。

そんなFiiO X5 3rdを購入者した、あーる氏(@HokuYobi_2)に使用して感じた音質や操作感、満足度などのレビューを伺ってみました。

「Seiun Pro X」が発送される様子が無いので購入を決めました

まずは購入しようと思ったきっかけや理由をお伺いしたいと思います。
なぜ「FiiO X5 3rd」を購入しようと思ったのか教えてください。

これまでは、2015年5月に購入したFiiO X3 2ndというDAPを利用していましたが、ヘッドフォン祭りやポタフェスで他のDAPを聴いたりしている中で、そろそろDAPを新しくしたいと思っていたことが背景にアリます。
本来は、X3 2ndの代替としてはSeiun Pro Xを想定していましたが、いつになっても発送される様子がなく、良い時期に低価格で高性能なDAPが登場するということでX5 3rdを購入することにしました。

※Seiun Pro X:クラウドファンディングで巨額の出資を集めたももの、当初の発送予定(2016年3月)を過ぎても届く気配のないハイレゾDAP

いつ頃、どこで買われましたか? また、購入時の価格を教えてください。

海外製品の並行輸入を専門としているmobile-accessory-netで購入しました。当初の価格は46,900円でしたが、注文後に値上げし、最終的に53,500円で購入しました。
今は、Amazonに並行輸入品が5.1万円で販売されているので、その方が購入しやすいかもしれません。

「FiiO X5 3rd」を購入して、どんなところに興奮しましたか。

パッケージもそそるものがありましたが、一番興奮したのは本体のデザインです。特にボリュームノブ周辺の加工は、作り込んであることが分かり、見ているだけでも楽しくなります。

本体左側上部にあるボリュームノブ

どんな音楽にも上手く合う音だと思い、満足しています。

次は、音に関することをお聞きします。
普段どんな音楽を聴いていて、「FiiO X5 3rd」が鳴らす音はどう感じていますか。

J-POP、アニソン、Rock、POPsとポップス系統の楽曲をよく聴いています。
フォーマットは44.1KHz/16bitのFLACがメインで、時々DSDや192Khz/24bitの音源も聴くような感じです。
X5 3rdの鳴らす音は、これまでのFiiO X3 2ndやそれ以前のDAPのような元気な音作りを継承しつつ、若干繊細な音作りになったように感じています。どの帯域もまんべんなくバランス良く鳴らしていくれているイメージです。解像度に関しては、全く文句ないレベルで満足しています!

どんなイヤホン/ヘッドホンで「FiiO X5 3rd」を使っているんでしょうか。それらとの相性も合わせて教えてください。

聴き込みたい!というときには、Etymotic ReserchのER-4Pをメインで使用しています。
ER-4Pは、以前使用していたX3 2ndが若干低域が強い音作りだったため、ちょうどよい感じでしたが、X5 3rdだと細すぎる印象を感じることも時々あります。
また、最近ではFiiO F3を気分に合わせて使用しています。24ドルと激安ですが、その価格に対して解像度が高く、弱ドンシャリの傾向なので、X3 3rdと合わせるとフラットに近くなりうまくはまりました。FiiO F3のレビューは私のブログ(【FiiO F3】FiiO初のオリジナルイヤフォン。24ドルと激安でありながら十分使えるFiiO F3レビュー)でも公開しているので、ぜひご覧ください。

ポタアンは使っていますか。使っているのであれば、こちらも相性など合わせて教えてください。

ポタアンは基本的には使用していません。
X5 3rd単体でも手持ちのイヤホンなら十二分に鳴らしきれていますし、X5 3rdに見合うレベルのポタアンを持っていないので……。
ただ、一度iBasso D55に接続してER-4Pで聴いた際には、X5 3rd単体の時以上に解像度が増し、低域が向上した印象がありました。ポタアンと繋げることでより可能性は広がりそうです。

それでは、「音質」に関しての率直な感想をお願いします。

率直な感想としては、これまでのFiiOの元気な音作りを継承しつつ、若干細めの音になったという印象です。
癖がなく、解像度の高い音で、ポップスだけでなくどんな音楽にも上手く合う音だと思い、満足しています。

ファームウェアの安定性に関しては若干不安なところも

次はソフトウェアに関することをお聞きします。
基本UIはどうですか。良いと感じている点、気になっている点などあれば教えてください。

専用アプリのデザインは非常にスタイリッシュでありながら、直感的に操作でき満足しています。
ただし、ソフトウェアの安定性に関してはFW1.1になった今でも若干不安な点が残ります。

では、ファイル管理の仕方、プレイリストの対応方式、リピートやシャッフルの再生範囲などプレーヤーソフトの使い心地はどうでしょう。

私の場合、ファイル管理は基本的に、Jriver Media Centerを利用して専用のプレイリストを作成し、それごとmicroSDに転送するようにしています。
ちょっとした追加程度であれば、Windowsのエクスプローラーで転送します。
プレイリストに関しては利用していませんが、m3uに対応しており特に困ることはないのではないでしょうか。
再生面では、フォルダスルー再生がアルバムからの再生では有効にならないのが不満です。また、フォルダ名、アルバム名などの名前のソートの基準が不明で、英語や平仮名の中に漢字の名前が交じる場面があり、混乱します。

謎の基準でソートされている

「FiiO X5 3rd」では、Androidで動作するAndroidモードと音楽再生に特化したPure Musicモードが選択できますね。どちらをメインで使っていますか。また、それぞれのモードで感じたことがあれば教えてください。

基本的にはPure Musicモードを利用しています。
ホームボタンを押した際に、そのままMusicアプリに戻っている方がDAPらしいなというのが理由です。
両モードの差は特にないと感じており、好みに応じて使い分ければいいのかなと思います。

Androidベースの「Pureモード」、音楽再生に最適化されている

バッテリー持ちについてはどのように感じていますか。

あくまでも体感ではありますが、X3 2ndと比較すると若干短い印象を感じます。
ただ、通常再生で5,6時間は余裕で持っているので、日常使いでは不満を感じません。長距離旅行の時にどうするかは少し不安ですが。

なるほど。では、充電時間に関してはどうでしょうか。
「FiiO X5 3rd」は、DAPとしては珍しく高速充電が可能ですよね。恩恵は感じられますか。

自宅ではFiiO K5(専用のドック)にQC 3.0の充電器を接続して充電していますが、そんなに速いという印象はありません。
気づかないうちに恩恵を受けているだけかもしれませんが……。

それでは、UIや操作性などソフトウェア面に関しての率直な感想をお願いします。

UI、ソフトウェアは非常に使いやすく、デザイン面もかなり洗練されていると思っています。
しかし、まだファームウェアの安定性に関しては若干不安なところがあり(一時停止後の再生復帰ができないことなど)、今後のアップデートに期待したいと思っています。

デザイン、携帯性、ハード面は不満を感じず最高です

次は外観や持ちやすさ、携帯性に関することを教えてください。
サイズは約114.2×66.2×14.8(mm)と少し小さめかなと思うのですが、携帯性や持ちやすさ、ボタン/タッチパネルの操作のしやすさはどうでしょうか。

私にとってはちょうどよい大きさで満足しています。この時期はコートの外側の胸ポケットに入れて使用しているので、この大きさが限界でした。
タッチパネルの感度は良好で、スマートフォンと同じ感覚で利用できます。文字のサイズやスクリーンキーの大きさも適切で満足しています。
ハードウェアキーに関しても、全く不満を感じません。ボリュームキーもデザインがよく、実用的で最高ですね。

ケースは使っていますか。

付属の革ケースを利用しています。デザインが本体と上手く合っており、気に入っています。
一度、1m程の高さから道路に勢い良く落としてしまったのですが、その時もケースのおかげか本体は無傷だったので、保護性能も十分かと思います。

それでは、デザインや携帯性、ハード的な使いやすさに関しての率直な感想をお願いします。

デザイン、携帯性、ハード面は全く不満を感じず最高です。それ以外に言うことはありません。
某AKよりもベゼルが小さく、スペースを有効活用できてる印象があるのも個人的にはポイントは高いですね。

X5 3rdを買っておけば、当分困ることはない

あーるさんが感じた「FiiO X5 3rd」のここが良いと思っている点を教えてください。

音質、操作性、デザイン、その全てが完璧です。
X5 3rd一台買っておけば、当分困ることはないと言っても過言ではないと思っています。X5 3rdの拡張性の高さも良いですね。
同軸出力もあるのでトランスポートとしても使用できますし、バランス出力と通常のライン出力にも対応しているので、X5 3rdを中心にイヤホンやDAC、アンプと少しずつ周りのものを買い進める楽しみがあります。

逆に、イマイチなところ、アップデートで修正されないかなと思っている点はありますか。

UIの安定性に関しては、FW1.1でかなり改善された印象はあるものの、若干不安が残ります。その点だけ直ってくれれば、完璧だと思っています。

今回は「FiiO X5 3rd」について色々と教えていただきありがとうございました。最後にこの記事を読まれている方にメッセージがあればどうぞ。

約5万円と若干高めのDAPではありますが、その価格を超えた価値のあるDAPだと思っています。2,3万円台のミドル帯のDAPからの買い替えにピッタリの製品だと感じています。

取材協力:あーる(@HokuYobi_2)

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執筆:あんそく
ラブライバーです。 ラブライブ!に関する記事を書いたり、スマホに関連するサービスについて書いたりしています。

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