スマホはソフト(アプリ)で拡張する時代から、ハードで拡張する時代へ! Googleの組み立て式スマホ「Project Ara」特集

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スマートフォンが一般に普及し始めて数年、様々なスマートフォンが生まれてきました。
キーボード付き、ガラケーのような形状、極めつけにはディスプレイを二枚搭載する変態端末まで…。

しかし、その多くは駆逐されてしまい、iPhoneに代表されるストレートタイプのものが市場の大半を占めています。ケースなどでカスタマイズできるとはいえ、オリジナリティを主張したい人にとっては物足りないのが現状です。

そこに、あのGoogleが組み立て式スマートフォンという形で一石を投じようとしています。この記事では、その組み立て式スマートフォン「Project Ara(プロジェクト アラ)」についてまとめていきます。

Project Araとは?

Project Araのことを詳しく知る前に、まず、基本から確認していきましょう。

Prioject AraとはGoogleが提唱する次世代のスマートフォンで、自分の必要な部分を自分の好きな様にカスタマイズできるという、これまでのスマートフォンではありえなかった大きな特徴を持っています。

例えば高性能なカメラを付けたければ、カメラの部分だけを自分の好きな部品に交換することができるのです。以下の動画で具体的にどんなものなのかを見てみましょう。

Project Araの目的

Project Araは、Googleに買収されたMotorolaの開発チーム(ATAP)が提唱した、モジュール組立型スマートフォンを開発する計画の総称です。MotorolaはGoogleに買収された後、Lenovoに売却されたのですが、ATAPはGoogle内に残されました。

Project Araの目的は3つあります。

  • ユーザーがそれぞれ好きな様に端末をカスタマイズできるようにすること
  • ハードウェアの開発をより手軽に行えるようにすること
  • 精密機械の廃棄量を削減すること

それぞれの目的を詳しく解説していきます。

自由なカスタマイズ

1つ目の「自由にカスタマイズできる」ということは、ユーザーが欲しい機能をそのユーザーに合わせて付けることができるということです。
例えば今まで高性能なカメラが欲しければ、必然的に各メーカーのハイエンド機を購入しなければいけなかったところを、CPUやRAMはミドルレンジでカメラだけをハイエンドな物にするといったことができるようになるのです。

ハイエンドなスマートフォンを買うよりも、カメラだけハイエンドなスマートフォンを買った方がコストも安く済すみますよね?

ハードウェアの開発を手軽に

2つ目の「ハードウェアの開発を手軽にできるようにする」という点ですが、これはスマートフォンのアプリ開発の例を考えてみるのがいいでしょう。
ガラケーでは、アプリの開発は一部の限られた人間にしかできず、開発用の機材も非常に高価格で決してオープンであるとはいえませんでした。しかし、スマートフォンではパソコン一台と端末が一つあれば、誰でも無料でアプリの開発を行うことができます。つまり、スマートフォンはオープンな土壌で、多くの開発者が無数のアプリを開発していくことで、便利で高機能なものになっているのです。

Googleはハードウェアでもソフトウェア(アプリ)と同じように、開発をオープンなものにしようとしています。これによって、スマートフォンのアプリと同様に世界中の開発者が無数のモジュールを生み出し、スマートフォンの機能が無限に広がることが期待されます。

廃棄量の削減

3つ目の「廃棄量の削減」ですが、現在スマートフォンは基本的に分解できない構造になっており、修理やバッテリーの交換は基本的に本体のまるごと交換を行っています。スマートフォンには希少なレアアースが多く使われており、できるだけ消費量を削減する必要があるのですが、まるごと交換をしていては消費量は増える一方です。そもそも、一部しか壊れていないのにも関わらず、それ以外の部分も捨ててしまうというのは非常に勿体ないといえます。

しかし、Project Araではパーツをモジュール化しているため、故障した部分のみを非常に簡単に、そして誰でも交換できるので廃棄量の大幅な削減が見込めます。また、今までは使っているスマートフォンが物足りなくなったときは買い換える必要がありましたが、Project Araでは物足りなくなった部分のモジュールを交換するだけです。

プロトタイプ「Spiral 2」

Project Araは既にプロトタイプを発表しています。「Spiral 2」という第2世代プロトタイプから、具体的に組み立て式スマートフォンはどのようになっているのか見ていきます。

エンドスケルトン

Project Araでは様々な機能を与えるモジュールと、モジュールを固定するエンドスケルトン(Endoskeleton)の2つからスマートフォンを構成します。
エンドスケルトンには3つのサイズ(大・中・小)があり、Spiral 2では中と小がラインナップされています。

ProjectAraImage_035エンドスケルトンのサイズによって付けられるモジュールの個数が異なるので、ユーザーは自分に必要なモジュールを考えてエンドスケルトンを選ぶ必要があります。

ProjectAraImage_034モジュールを付ける前はこのようになっています。

エンドスケルトンにはモジュールの入れるスペースを仕切る物があり、これは移動させることができないので、2×2のモジュールを入れるスペースに2×1のモジュールを二枚入れるといったことはできません。(モジュールは1×1、2×1、2×2の3サイズがあります)

Spiral 2のエンドスケルトンには、モジュールとエンドスケルトンで通信を行うための端子がついていますが、今後は近距離無線通信で行うようになるそうです。(電源供給のための接点が必要だと思われるので、今後もしばらくは端子が消えることはないと思われます)

ProjectAraImage_033上のエンドスケルトンにモジュールを付けるとこうなります。

ProjectAraImage_003ProjectAraImage_004Spiral 2のエンドスケルトンの中サイズと小サイズの比較。

モジュール

モジュールには3つのサイズあり、代表的なモジュールとしては、CPU、メモリ、ストレージ、外部端子(USBなど)、バッテリー、カメラ、ディスプレイなどがあります。これら以外にも、一般の開発者が自由にモジュールを開発できるため、様々な種類のモジュールが登場することが期待されています。

ProjectAraImage_018モジュールの裏にはエンドスケルトンと通信するための端子がついています。今後は無線通信になるので端子の形状は変化するものと思われます。

ProjectAraImage_012ProjectAraImage_017Project Araのモジュールは機能をカスタマイズできるだけでなく、モジュールの裏のデザインもオリジナルでカスタマイズすることができます。

ProjectAraImage_030デザインの変更は背面のパネルを交換することで行えます。

ProjectAraImage_005ProjectAraImage_006エンドスケルトンとモジュールの固定は電磁石で行います。
突起等に引っ掛けて固定する方法ではないので、モジュールの交換を何度もすると固定力が落ちるということは無さそうですが、固定力が弱いと操作中にモジュールが外れるということも想定されるので、どれほどの力で固定できるのかが気になるところです。

ProjectAraImage_026ProjectAraImage_014モジュールは背面だけでなく、表面にもつける事ができます。
ディスプレイもモジュール化されているので、スマートフォンの破損原因の大部分を占める画面割れも簡単に交換が可能になっています。

Project AraのOS

OSはProject Ara専用のものが準備されるのではなく、Googleの開発したスマートフォンOSでは世界で一番のシェアをもつAndroidが搭載されています。
Androidは以前、モジュール組換型スマートフォンをサポートしていなかった(無かったのだから当然ともいえる)のですが、Project Araのためにキッチリ対応させてきました。

Project Araの課題

Project Araは今までなかった全く新しい取り組みのゆえ、課題がいくつかあります。

最大の問題、消費電力

まず、最大の問題とされているのが消費電力です。
従来のスマートフォンと異なり、幾つものモジュールで構成されるProject Araでは、今までのスマートフォンでは不必要であった、端末内でのモジュール間通信のためのネットワークが必要とされます。このため、必然的に端末の消費電力が多くなってしまい、従来のスマートフォンと比較すると、どうしてもバッテリー持ちが短くなる問題がありました。

しかし、チップの製造を東芝が行っており、この問題は着実に解決しつつあるようです。

剛性の問題

従来のスマートフォンでは基板をガラスや金属、プラスチックなどで覆っているので、剛性を高めることは容易ですが、エンドスケルトンの周囲にモジュールをくっつけていくスタイルのProject Araでは、剛性が極端に低くなっています。

これでは、ポケット等に入れた時に簡単に曲がってしまい、すぐに端末が破損してしまいます。
消費電力の問題と異なり、端末の構造を見直す必要がありそうな問題ですが、Googleはどのようにして、この問題を解決してくるのでしょうか。

Project Ara、今後の展開

まだ製品がリリースされていないProject Araですが、今後実現されるといわれている機能をいくつか紹介します。

より自由なモジュール

現在は端子を使っているモジュール-エンドスケルトン間通信を、無線化にすることが予定されています。
これにより、モジュールに端子をつけなければならないという制約がなくなり、より自由にモジュールの開発を行うことができるようになります。

バッテリーのホットスワップ機能

バッテリーのホットスワップ機能の実装も予定されています。
ユーザーは端末を再起動させることなくバッテリーを交換することができ、より長時間、連続してスマートフォンを運用することができるようになります。

モジュールストア

機能以外にもモジュールの販売方法では、PlayストアやApp Storeなどのアプリストアと同じようなモジュールストアを展開し、誰でも簡単に出品・購入できるようになるとされています。

これは完全に筆者の希望ですが、エンドスケルトンも現在の3タイプだけでなく、折りたたみ式のものやスライドケータイのような形状のもの、更にはタブレット並の大きさのものが登場しても面白いかもしれません。

プエルトリコにおけるロードテスト

ProjectAraImage_036Googleは2015年末までに、プエルトリコにてProject Ara史上初のロードテストを行う予定です。
Project Araの実現もそう遠くはないかもしれません!

開発者向けの情報

Project Araにより一般人でも、アプリのようにハードウェアの開発を行うことができるようになると書きましたが、その詳細についてまとめていきます。

まず、一般の開発者ができるのは、モジュール部分の開発のみとなります。エンドスケルトン部分はGoogleが開発、製造、販売し、他のメーカーや開発者の方は開発することはできません。
ちなみに、エンドスケルトンの開発はGoogleですが、製造は台湾のQuanta Computerが行います。

モジュールの開発は、従来のハードウェア開発のように何度もプロトタイプを作っていくのではなく、MDK(Module Development Kit)と呼ばれるソフトウェアで動作のシュミレーションを行っていき開発をしていきます。これにより、プロトタイプを制作する手間とコストを削減し、一般の開発者でも手軽にハードウェアの開発を行うことができます。

肝心のモジュールの制作方法ですが、これについてはまだ詳細な情報が公開されていません。
今後Googleが発表すると思われますが、開発だけできても制作ができなければ意味が無いと思いますので、きっと何かしらの方法で簡単にモジュールの制作ができるようになることが予想されます。

MDKの配布はすでに始まっており、だれでも無料で手に入れることができます。
MDK — Project Ara

また、Project Araのチップ製造を担当する東芝は、モジュール開発者向けページをすでに公開していますので、興味のある方は確かめてみてはどうでしょうか。
Project Ara用モジュール開発者様向けサイト| 東芝 セミコンダクター&ストレージ社

Project Araに期待すること

Project Araはこれからのスマートフォンの形を大きく変える可能性を持つものであり、筆者はこれに非常に期待しています。

自分だけの世界に一つだけのスマートフォンが手に入るかもしれないということや、iPhoneやAndroidが巻き起こしたソフトウェア開発のオープン化の再来にすら感じられる、ハードウェア開発のオープン化により、スマートフォンは飛躍的に進化するでしょう。世界中の開発者が誰も思いつかないようなモジュールの開発を行っていけば、スマートフォンの可能性は文字通り「無限大に広がる」と言っても過言ではありません。

今後もProject Araの展開を楽しみにしていきましょう。

Source:Project Ara | Wikipedia : Project Ara | YouTube : Project Ara: Part of it

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