10月1日から、優先席付近では「混雑時のみオフ」でOKに ー混雑時はオフの理由知ってますか?

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10月1日から、JR東日本などの関東・甲信越・東北の37鉄道事業者はこれまで「優先席付近では携帯電話の電源を切るよう」に求めていたマナーの呼びかけを、「混雑時のみ電源を切るように」緩和しました。この”混雑”は、「体が触れ合う程度」とのこと。

緩和された経緯

今回の緩和は、総務省の「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」の改正や、スマートフォンの普及など携帯電話の利用形態の変化などを踏まえてのことだそうです。

そもそも、この「マナーの呼びかけ」は、携帯電話の電波が心臓ペースメーカーなど医療機器に影響を及ぼす恐れがあるとして始まったものでした。しかし、幸いなことに携帯電話の電波が原因で心臓ペースメーカーが誤作動を起こして死亡してしまったといった重大な事故は報告されていません。

現在の携帯電話・スマートフォンが与える影響

ただし、現在利用されている携帯電話・スマートフォンの電波が心臓ペースメーカーなどの医療機器に与える影響は全くのゼロではありません。

総務省は毎年度、医療機器等への影響に関する調査を行い、その結果に基づき指針を取りまとめ意見募集を行って、指針の改訂を行っています。

最新の指針である今年8月28日に公表された最新の指針によると、3G通信方式の携帯電話で影響を調査したところ最長で3cm程度の距離で影響を受けることがあったので、機器の電磁耐性規格などを考慮して15cm程度以上離すこと混雑などで離れられない可能性があるなら、予め電波を出さない状態に切り替える対処が望ましい としています。

平成24年7月25日以降サービスが行われている方式の携帯電話端末(スマートフォン等の無線LANを内蔵した携帯電話端末を含む。)による植込み型医療機器への影響を調査した結果、一部の植込み型医療機器について、携帯電話から最長で3cm程度の離隔距離で影響を受けることがあったことから、以下の通り取り扱うことが適切である。

ア 植込み型医療機器の装着者は、携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、植込み型医療機器の電磁耐性(EMC)に関する国際規格(ISO14117等)を踏まえ、携帯電話端末を植込み型医療機器の装着部位から15cm程度以上離すこと。また、混雑した場所では、付近で携帯電話端末が使用されている可能性があるため、注意を払うこと。

イ 携帯電話端末の所持者は、植込み型医療機器の装着者と近接した状態となる可能性がある場所では、携帯電話端末と植込み型医療機器の装着部位との距離が15cm程度以下になることがないよう注意を払うこと。なお、身動きが自由に取れない状況下等、15cm程度の離隔距離が確保できないおそれがある場合には、事前に携帯電話端末が電波を発射しない状態に切り替えるなどの対処をすることが望ましい。

なぜ「平成24年7月25日以降サービスが行われている」という表現になっているかというと、7月24日に第2世代(2G)の携帯電話サービスが終了したためです。総務省は2Gのサービスも提供されていた時期には「22cm以上離すことを推奨」していました。

指針の根拠となった調査方法と結果

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総務省の調査研究報告書によれば、3G方式のうち過去の調査で最も影響が確認された通信方式・周波数帯である「CDMA2000 1xEV-DO Rev. A方式、新800MHz帯」を用いて、心臓ペースメーカーの感度を最高に設定し調査実験を行った結果、心臓ペースメーカー40機種(20台x設定別)のうち5機種で影響が発生し、最も遠く離れた位置での影響は1cm未満で影響レベルは2(持続的な動悸、めまい等の原因になりうるが、その場から離れる等、患者自身の行動で原状を回復できるもの。)でした。

また、携帯電話より電波の放射効率の高いアンテナを用いた場合だと40機種のうち6機種で影響が発生し、最も遠く離れた位置での影響が発生したのは3cmで、同じくレベルは2の影響が確認できたそうです。

つまり、確認された影響は最も影響が発生しそうな組み合わせで、アンテナを使って発射した電波でのもので、影響のレベルも重大な事故に繋がるものではなかったということです。

混雑時のみ電源オフの理由

これらをまとめると混雑時のみ電源オフの理由は、携帯電話の電波によるペースメーカーへの影響として考えられる、「自身で離れれば回復ができる持続的な動悸、めまい」の症状が、指針としての15cm以上離れることや調査で影響が実際に確認された3cm程度離れることも難しいおそれのある満員電車などの混雑時に発生した場合、ペースメーカー使用者は混雑のせいで離れて原状を回復することができない可能性があるからです。

LTEやWiMAXは影響なしとの報告

WiMAXに関しては平成23年5月26日に、調査結果として影響が無かったと報告しています。

WiMAX方式の無線通信端末を対象とし、心臓ペースメーカ等の植込み型医療機器としては、現在使用されている代表機器(植込み型心臓ペースメーカ39機種、植込み型除細動器28機種)を対象として調査を実施しました。
その結果、WiMAX方式の無線通信端末から発射される電波がこれらの心臓ペースメーカ等の植込み型医療機器の動作に影響を与えないことを確認しました。

また、LTEに関しても平成25年12月25日に調査した結果影響が無かったと報告しています。

LTE方式の携帯電話端末から発射される電波の影響調査においては、現在使用されている植込み型医療機器の中から選定した25機種(植込み型心臓ペースメーカ13機種、植込み型除細動器12機種)を対象に、スクリーニング測定を経た上で携帯電話端末実機を用いた影響測定を実施したところ、影響の発生はありませんでした。

まだ先の話ですが、LTEやWiMAXといった規格が影響なしであり、今後の新しい規格も影響が無いようであれば、3Gが停波した際にまた指針の見直しがされるかもしませんね。

指針とマナー

総務省が指針を発表するまで、そして発表後にも意見募集という形で意見を広く集め、表現の仕方や内容を見直して改訂を重ねています。日本医療機器学会や日本民営鉄道協会、エヌ・ティ・ティ・ドコモといった事業者や団体だけでなく、個人として意見されている方も居るようです。

安全は本当に守られているのか、過度なマナーの押し付けになっていないか、口論などトラブルが起きないようにアナウンスはこうした方がいいのでは?等、たくさんのことを検討して作られた新しいマナーというわけです。

私はペースメーカーを使っていませんし、使っている家族や友人も居ないので今回の変更が実際にペースメーカーを使っている方にどのように受け取られているのか分かりませんが、不安に思っている方も居るのではないかなと思います。電波が直接影響を及ぼさなくても、不安からくる心理的ストレスがあるかもしれません。

安直に「緩和されたってことは結局影響ないんでしょ?」と決めつけずに、多くの人が様々なことを慮って、みんなが気持ちよく利用できるようになればいいですね。

JR東日本
総務省
電波の植込み型医療機器等への影響の調査研究 – 総務省

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