3位転落のドコモ、「新プラン移行が想定以上で減収」は傲慢さが招いた結果なのではないか

NTTドコモは10月31日、2015年3月期連結業績予想の下方修正を発表しました。
売上高にあたる営業収益は、2014年度当初予想の4兆5900億円から1.4%減の4兆4000億円。営業利益は、当初予想7500億円から23.1%減の6300億円としています。

特に営業利益は、当初の予想から1200億円も引き下げており、これが確定すれば業界3位に転落する見通しとなるそうです。

ドコモはどうして業績を下方修正せざるを得なく、業界3位に転落しそうになっているのでしょうか。それには、6月から開始した新料金プランの音声定額「カケホーダイ」が大きく絡んでいます。

カケホーダイとは

141108_docomo_kakehodaiドコモが2014年6月から始めた音声定額の新プラン。
基本料金として「カケホーダイ」に月額2700円かかり、利用するデータ量ごとに3500円~の料金プランから選べます。このデータ量は家族同士で分け合えることが可能です。

従来のプランとカケホーダイ

従来では基本料兼音声プランである、月額743円「タイプXiにねん」で、これに月額5700円「Xiパケ・ホーダイフラット」が付けるのが基本的なプラン設計です。

音声通話をすると30秒20円がかかりますが、音声通話をあまりしなかったり、LINEなどのアプリで通話していたユーザーには、そこまで気になるものではなかったでしょう。

実質的な値上げの強制

141110_docomo_kakehodai従来では音声+パケット+ISPを合計して、約6800円で月7GBまで利用できました。新プランになると、6500円で月2GBまで、8000円で5GBまで、9700円で8GBまでと実質的に値上げとなってしまいます。

もちろん、家族とのシェアや利用台数、利用年数など一定の条件が揃えば従来より安くなることもあります。

しかし旧プランである、「タイプXiにねん」「Xiパケ・ホーダイ フラット」の新規申し込みは8月31日で終了してしまいました。
そして9月1日以降、従来のプラン内容で契約を続けることができる機種変更において、新料金プランに変更しないと月々サポートの割引が受けられないという実質的な新プランの強制を行いました。

月々サポートが無いと…

Xperia Z3 SO-01Gをドコモ利用10年未満のユーザーが購入する場合、月々サポートがあると約48000円も安くなります。この差は無視できるものでないので、実質的に新プランに入らざるを得ません。

月々サポートが付く場合
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強制した新料金プランの誤算

新規ユーザーには旧プランを受付終了で、既存ユーザーには機種変更時の月々サポート廃止で実質的に新プランを強制した結果はどうだったのでしょうか。
その結果が10月31日に行われた、2015年3月期第2四半期決算説明会にて発表された通りの業績の下方修正です。

新プラン移行の狙い

新プラン移行への狙いは、若い世代などにおいて音声通話収入がLINE等の無料通話アプリ普及の影響もあって下げ止まらないので、定額制の導入で音声通話収入の減少に歯止めをかけ利用を促そうというものでした。

新プラン移行の結果

141110_docomo_ikougo新プランは予想以上の勢いで契約数を伸ばし、早くも1000万契約を突破して調子がいいように見えたものの、真っ先に飛びついたのは新プランに移行することで得をするユーザーたちばかり。ドコモにとっては、マイナスです。そして「値上げ」と感じたユーザー達は他社へ流出していきました。

社長コメント(2014年10月31日 2015年3月期 第2四半期決算について)

その結果ドコモはユーザーあたりの売り上げARPUを下げています。これが影響して営業利益の下方修正をしたとコメントしています。

新料金プランのご契約者が弊社の想定を上回るペースで増加したことから、先行的な減収影響が当初の見込みよりも大きく発生しました。これをうけ、2014年度の業績予想について、見直しが必要と判断しました。営業利益を1,200億円下方修正し、6,300億円といたします。

結果

当初の予定では、新料金プランに移行することで得をする音声通話をたくさん利用するユーザーと、あまり音声通話を利用しなかったユーザーとがバランスよく新料金プランに移行することで、ドコモは減収などせず、音声通話収入を上げることを狙いました。

しかし、音声通話を利用しないユーザーたちは、これを機に「音声定額を契約して通話利用」せず、機種変更したいけどプラン変更したくないので白ロムを購入したり、他所へMNPやMVNOへの移行をしたりとドコモに想定外の動きをしてしまいました。MNPで他所のキャリアやMVNOの利用など、ドコモを利用する以外の選択肢も多くある状態なので、今後も厳しい戦いが続くのではないでしょうか。

今後のドコモは

ドコモとしては、今回の減収はあくまで先行的で、今後回復するとしています。
これは要約してしまえば、新プランで得する(=ドコモがマイナスとなる)ユーザーが先行的に飛びついただけで、今後は新プランで得しない(=ドコモがプラスとなる)層も新プランで契約せざるを得ないので、結果として回復するということです。確かにその通りですが、新プランに移行したくないユーザーとしては、イラッとくるものがありますね。

業績予想を修正するということは、想定外の動きがあったということです。今回の場合は、新プランへの移行がそれです。
しかし本当に想定できなかった事態なのでしょうか。新しいプランに移行を促したら、得するユーザーは移行して、損するユーザーは移行しない。至極当然のことが起きただけに思えてなりません。

今回の件は、ドコモのユーザーに対する傲慢さが招いた結果に思えました。皆さんはどう思いますか。

Source:NTTドコモ 「カケホーダイ」 | 説明会資料 NTTドコモ | 社長コメント NTTドコモ | ビジネスジャーナル

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執筆:スマホペディア

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