世界初、虹彩認証に対応した全部入りスマートフォン「ARROWS NX F-04G」レビュー
スマートフォンとしては世界初となる虹彩認証「Iris Passport」を搭載したNTT ドコモの夏モデル「ARROWS NX F-04G」をレビューします。夏モデルの中で一番インパクトがある機種ではないでしょうか。
内容物
付属品は、卓上ホルダ、アタッチメント、クイックスタートガイド、保証書(画像にはなし)です。アタッチメントはケース装着時に付け替えます。
デザイン
本体上部はアルミニウム素材。
本体左側面のキャップを開けると、nanoSIMカードスロット、microSDカードスロット、microUSB端子があります。残念ながらキャップレス防水非対応ですが、マグネット端子を使用すればキャップを開閉する必要はありません。
カメラの出っ張りは好みが分かれそうです。かなり出っ張っているので、「iPhone 6/6 Plus」のようにケースを装着することで相殺するのは難しいでしょう。
厚みを「iPhone 5」と比較しました。大して変わらないように見えますが、持ってみると差を実感できます。最近の機種にしてはかなり分厚いです。
スペック
OS | Android 5.0 Lollipop |
---|---|
CPU | Snapdragon 810 MSM8994 2.0GHz(Quad-core)+1.5GHz(Quad-core) |
RAM | 3GB |
ROM(内部ストレージ) | 32GB |
外部ストレージ | 最大128GB(microSD/microSDHC/microSDXC) |
ディスプレイ | 約5.2インチ、WQHD(1440×2560) |
カメラ | アウトカメラ:約2150万画素、インカメラ:約240万画素 |
バッテリー容量 | 3120mAh(着脱不可) |
サイズ・重量 | 高さ約146 × 幅約70 × 厚さ約8.8mm、約155g |
カラー | Iris Green、White、Black |
その他 | TransferJet搭載、VoLTE対応、LTE-Advanced対応 |
ベンチマークスコア
ベンチマークの結果は以下の通りです。右は温度上昇時の計測結果です。スコアは落ちましたが、著しく動作が遅くなるわけではありません。体感できるほどの変化はないと思います。
夏モデルで多く採用されている「Snapdragon 810」の発熱が話題になっています。数週間使用した限り、故意的に負荷を掛けなければほんのり温かい程度でした。通常使用で問題が生じるレベルではないと感じました。
虹彩認証
本機種の最大の特徴は虹彩認証です。指紋認証との相違点などを交えながら虹彩認証について簡単に解説していきます。
そもそも虹彩とは瞳孔のまわりの色がついた部分のことです。虹彩の複雑な模様は固有なため、個人を特定することができます。眼鏡やコンタクトレンズを装着したままでも認識精度はほとんど落ちません。ただし、カラーコンタクトレンズなどで虹彩部分を覆ってしまうと認識できなくなります。
Iris Passport
虹彩の登録は画面のガイドに従って行います。しばらく見つめるだけの簡単設定。登録した虹彩はロック解除だけでなく、ウェブサイトやアプリケーションのログインに必要なID、パスワードを見るだけで自動入力することもできます。
かなりアバウトでもしっかり認識するので驚きました。虹彩全体が見えていなくても問題なく、認識速度はかなり早いです。顔とスマートフォンの距離は、約20cm離れている必要があります。
赤外線LEDで赤外線を照射し、赤外線カメラで読み取る仕組みです。暗所でも使用できるのは嬉しいポイントですね。
指紋認証と虹彩認証のロック解除時間を比較
ロック解除に要する時間が短いのは指紋認証です。例えば、「Ascend Mate 7」は背面の指紋センサーに触れるだけで自動的に画面が点灯し、ロックが解除されます。対して「ARROWS NX F-04G」は画面をオンにしてから視線を合わせるので、1ステップ多くなります。
ただし、「iPhone 5s/6/6 Plus」や「Galaxy S6/S6 edge」のようにホームボタンを押下してからセンサーにタッチするタイプであれば、解除にかかる時間は同じくらいです。
屋外では認識に時間がかかったり、うまく認識されないなどまだまだ改善の余地はありそうです。大きく目を見開くと、認識しやすくなります。それでもうまく認識しない時があるので、パターンロック認証とうまく使い分けるといいでしょう。
虹彩認証のセキュリティレベルを検証
虹彩認証は指紋認証より欺瞞することが困難なため、セキュリティは強固です。困難ではありますが、不可能ではないようです。以下の手順で検証しました。
- ARROWS NX F-04Gにあらかじめ虹彩を登録
- 登録者の目の写真を撮影し、印刷
- 虹彩認証で写真を読み取り、ロック解除を試みる
結果は虹彩を認識せず、解除できませんでした。かなり高画質なカメラで撮影し、虹彩の模様が確認できたので、解除できると予想していました。虹彩認証、かなり手強いです。
欺瞞の方法としては、登録者の虹彩をコンタクトレンズにプリントして装着するなどがあるみたいですが、現実的ではありません。虹彩認証が不正に突破されることはほぼないと考えていいでしょう。
※虹彩の写真を認識した実験結果もあります。今回の検証は筆者が実験的に行こなったもので、結果は保証致しかねます。
カメラ機能
背面カメラは約2150万画素で明るく高精細な写真が撮影可能。また、リアルタイムHDRに対応しているので、撮影後の仕上がりがリアルタイムで把握できます。
サイズは15Mワイド、オート設定の実写サンプルです。クリックでオリジナルサイズが開きます。
設定画面
クイック設定(画像左)は項目が多いので便利です。通常の設定画面(画像右)はAndroid標準の設定画面とは異なり、カスタマイズされています。
高速通信でストレスフリー
複数の周波数帯を束ねて同時に利用する「PREMIUM 4G」や、2本のWi-Fiアンテナで通信する「Wi-Fi MIMO」に対応しています。また、「マルチコネクション」や「セッション数増加」などの技術により、従来より高速で安定した通信を実現。対応エリアや対応機器で通信した場合、以前使用していた機種より明らかに速くなりました。
※PREMIUM 4G対応エリアはこちらをご参照ください。
内蔵アンテナが便利
ワンセグやフルセグを視聴するために必要なアンテナが本体に内蔵されています。一部の機種はアンテナをイヤホンジャックに接続しますが、外付けはスマートではありません。テレビはいざという時に非常に役に立つサービスなので、アンテナが内蔵されていると便利ですし、なにより安心感があります。
まとめ
虹彩認証の原理を知ると、スマートフォンに搭載されたことがいかに革新的かが見えてきます。虹彩スキャナは比較的大型な装置です。それによって実現されていた虹彩認証を、小型なスマートフォンで可能にしたことに驚きます。
機能が多すぎて、ここでは全て紹介できませんでした。細かいけどあると便利な機能が多いのは、国内メーカーの強みだと思います。日本人に合わせたモノづくりだと感じました。最近のARROWSは以前の悪いイメージを払拭できる仕上がりになっているので、ぜひ手に取ってみてほしいです。
注1:スマートフォンにおいて。2015年3月31日現在 富士通調べ。
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