ダイナミックパースペクティブを搭載したAmazon初のスマートフォン「Fire Phone」レビュー
2014年7月に発売されたAmazonの「Fire Phone」を入手しました。発表会の自信とは裏腹に、あまり人気が無いようです。実際に使ってみてわかった面白さと今後の課題について見ていきましょう。
パッケージ内容
内容物は、本体、説明書、、SIMピン、充電アダプター、イヤホン、microUSBケーブルです。
イヤホンは磁石でくっつき、コードが絡まりにくくなる優れもの。これはいいアイディアですね。
スペック
OS | Fire OS 3.6.8(記事執筆時点で最新バージョンは4.6.1) |
---|---|
CPU | Snapdragon 800 2.2GHz(Quad-core) |
RAM | 2GB |
ROM(内部ストレージ) | 32GB |
ディスプレイ | 4.7インチ、解像度:1280×720 |
カメラ | アウトカメラ:1300万画素、インカメラ:210万画素 |
バッテリー容量 | 2400mAh |
サイズ・重量 | 高さ139.2 × 幅66.5 × 厚さ8.9mm、160g |
カラー | ブラック |
その他 | 光学手ぶれ補正 |
発売から時間が経っていますが、まだまだ快適に使えるスペックです。AnTuTu Benchmarkの結果を載せておきます。
外観
背面はガラスで高級感があります。ロゴがカッコいいですね。
ホームボタンはアルミニウム。この細長い形状は、少し押しづらいです。
サイズはHTC J One(HTL22)とほぼ同じ。
本体左側面には音量ボタン、カメラボタン、nanoSIMスロットがあります。側面はラバーコーティングが施されており、滑りにくくなっています。
上部には電源ボタン、スピーカー、イヤホンジャック。下部にマイク、microUSBコネクタ、スピーカーを備えています。Dolby Digital Plusに対応し、ステレオスピーカーで迫力あるサウンドが楽しめます。
Spigen ULTRA HYBRID for Amazon Fire Phone
本体と同じタイミングでSpigenのケースも購入したので、簡単にご紹介します。
装着感はしっかりフィットしていて好印象。背面もしっかり保護できるので、安心して使えます。端末を置いた時、わずかに隙間ができるように四隅に突起があります。
日本で未発売のFire Phoneですが、ケースは国内のAmazonで購入することができます。液晶保護フィルムが付属してこの価格はお得です。
Fire OS
Fire OSはAndroidをベースに作られたOSです。Fire Phoneだけでなく、Kindle Fireにも搭載されています。
個性的なインタフェース
大きくアプリアイコンが表示され、その下に関連情報が表示されます。Androidベースながら、操作感は全くの別物。
端からスワイプするか、端末を素早く傾けることでメニューが出てきます。アプリによってメニューの内容が変わります。
ドック部分を上にスワイプ、またはホームボタンを押すことでアプリ一覧が表示されます。ちなみに、スクリーンショットはプリインストールアプリです。
ステータスバーはクイック設定と通知が表示されます。設定項目がカスタマイズできないのが残念なところ。アイコンを長押しすれば、設定画面に移動します。
テキストベースの設定画面
設定画面はとてもシンプルです。難点は項目を探すのが大変なこと。カテゴリごとアイコンがあれば直感的に探すことができると思います。この設定画面はWindows Phoneと似ています。
買い物が捗る「Firefly」
カメラボタンを長押しすると、Fire Phoneの目玉機能であるFireflyが起動します。
これはカメラに写ったものを読み取ることができます。早速Fire Phoneのパッケージとダストブロワーのバーコード、Fire Phoneのケースのパッケージで試しました。
表側は認識しましたが、裏側はダメでした。すぐにAmazonで購入できるようになっています。
バーコードもあっさり認識。Amazon.comで取り扱われていないため「Shop Amazon」の項目は消えています。
商品パッケージの認識ができない場合もあり、その商品が何かフィードバックを送れます。できるだけバーコードを読み取る方が良さそうです。
また、音楽や動画、テレビ番組の情報を取得することも可能です。
Fire OSの「Appstore」はアプリが少ない
プリインストールされているAppstoreは主要アプリは大体ありますが、やはりアプリ数が少ないです。そこで筆者は、Google Playをインストールし、Fire OSのアプリの少なさをカバーしました。
既視感がある「Quick Switch」
ホームボタンをダブルクリックすると、最近使用したアプリを表示と切り替えができる「Quick Switch」が出てきます。上にスワイプすることでアプリを終了できます。この操作、完全にiOS。
ダイナミックパースペクティブ
Fire Phoneの最大の特徴は、前面に搭載された4つのカメラです。この複数のカメラがセンサーとして機能することにより、ダイナミックパースペクティブというカメラテクノロジーが実現。もちろん、インカメラも搭載されているので、アウトカメラ含め全部で6つもカメラがあります。
見る角度によってアイコンが動きます。コンテンツの評価が表示されているのはPeekという機能ですが、詳細は後ほど。
この画面内部を動かすことで立体的に見せるのは、iOSの視差効果と似ていますが、仕組みは異なります。iOSはセンサーから傾きを検出していますが、Fire Phoneは縁辺のカメラで顔を認識し、その動きを計測しています。
ハンズフリーでスクロール
本体を傾けることで、スクロール操作が可能。角度によってスクロール速度が変化します。ちょっと便利だと思いましたが、この機能は加速度センサーやジャイロセンサーでも実現できるような…。
角度で情報が変化する「Peek」
正面から見た時と斜めから見た時で情報が変化します。例えばAppstoreや地図などで、常に表示されていると邪魔だけど、見たい時だけPeekで情報を表示するといった使い方です。
なぜかステータスバーにPeekが適応されているため、普通に使っているとステータスバーが表示されません。なぜステータスを確認するために、わざわざ見づらい角度に傾けなければいけないのか、理解できません。すぐに常時表示する設定に変更しました。
嫌いなところと同じくらい好きなところもあった
ダイナミックパースペクティブは面白いテクノロジーですが、それを利用したキラーアプリが未だに存在しないのが、販売不振に繋がっているのではないでしょうか。
ロック画面やアイコン等を立体視させても、実用性はありません。Fire Phoneを使ったユーザーの多くは『それを使って他に何かできないの?』と思うでしょう。立体的に見えても使いやすくなるわけではないですし、技術の使いどころを誤ったとしか思えません。
かなり辛口なレビューになってしまいました。でも、可能性を感じられるスマートフォンであることは確かです。現状はまったくおすすめできませんが、今後進化し改良された後継機が出るとしたら化けるかもしれませんよ。
※Amazon Fire Phoneは技術基準適合証明を受けていないため、国内での使用は電波法に抵触する可能性があります。本記事は、端末の輸入及び使用を推奨するものではありません。
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